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「原美術館」は、オフィスビルが立ち並び、近年都市開発のめざましい品川駅から歩いて十数分の距離にありながらも、静かで落ち着いたロケーションに建っている。
というのも、原美術館は、もともと個人の邸宅であるため、閑静な住宅街に位置しているからだ。都心にあるというのに静寂そのものの環境は、まさに都会のオアシスと言えよう。

「都会のオアシス」。
一歩、その敷地に踏み入れただけでそれは感じられる。芝生を広く取った庭に佇む、アーチ型にカーブした美しく白い洋館。
人が暮らしていた名残りなのだろうか、室内に差し込む光や窓から望む庭の緑がそう思わせるのだろうか、館内は、時が止まったかのような静かで穏やかな空気で満たされている。

設計を手掛けたのは、旧日劇や東京国立博物館などを手掛けた渡辺仁氏。昭和初期の建築物として貴重なものだ。アール・デコやバウハウスの流れなど、さまざまな様式が混在した自由な建築は、モダニズムのデザイン。柔らかいカーブの曲線とシャープな直線、水平に広がる底層階と垂直な塔屋、初期のモダニズムの象徴である屋上空間の利用も見られる。


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美術館の施設は基本的に三つの要素で構成されている。
「見て」愉しむ、パブリックな展示スペース。アートと日常の架け橋となるアイテムを紹介するミュージアムショップ。そしてアートを「味う」カフェである。
「食」と「美」が一体化したカフェ・レストラン「カフェ ダール」だ。
「カフェ ダール」は、ガラスを多用した造り。自然光が溢れる明るいテラスと目の前に広がる中庭の輝く緑が印象的である。
美術館の展示室を抜けると、ここが昔、個人の邸宅だったことを思い出させる静かな中庭に出る。そこに隣接するのが、原美術館のカフェ・レストラン「カフェ ダール」だ。
オープンは、1985年。原美術館はアートと食の融合をいち早く唱えた美術館だったのである。そこには、「観るだけではなく、トータルでアートを楽しんでもらいたい」という願いが込められている。
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原美術館に訪れる人の多くが「カフェ ダール」を利用する。カフェそのものを楽しみにする人も少なくない。
季節ごと最高の素材を、時間をかけ調理する、どこか家庭的な、しかしながら洗練された料理は、アートな余韻に浸りながら、創造性あふれるプレゼンテーションとともに心ゆくまで味わいたい。
もうひとつこのカフェで体験しておきたいのが“イメージケーキ”だ。展覧会毎、その展覧会をモチーフにして作られるスイーツである。
カフェがオープンし、10年以上前から作られ続け、根強いファンを持つ。独創的ながらも、展覧会と見事にマッチしたケーキが楽しめる。


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≪写真左から≫
2005年3月30日-5月29日 「タピエス─スペインの巨人 熱き絵画の挑戦」展のイメージケーキ
2005年11月17日-2006年3月5日 「オラファー エリアソン 影の光」展のイメージケーキ
2005年6月11日-7月31日 「あなたの中のわたし─原美術館コレクション」展のイメージケーキ


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現在シェフを務める石原道子氏は、7年前まで都内のイタリアン・レストランで腕を振るってきた。美術鑑賞が趣味で、仕事の休みによく訪れていたのが原美術館だった。
美術館そのものの雰囲気やアートをトータルで楽しむという姿勢に惹かれ、「カフェ ダール」で働くことを自ら志願したという。
展覧会ごと手掛けた作品は、約25種類にも及ぶ。展覧会それぞれの持つ個性を的確に感じ取りつつも、新たな作品としてイメージケーキを生み出す。
「心がけているのは、展覧会からカフェを一つのストーリーとして愉しんでもらえるようにすることです。見るだけでなく、舌で味わい、感じる。展覧会で感じていただいた作品に対するイメージが、食すことでより広がるようなケーキを作りたいと考えています。また、作品のイメージに合っているかどうか、納得してもらうことはもちろんですが、意外性や驚きも大切。そのためにも見た目だけでなく、味にもこだわっていますね」と石原シェフは語る。

現在、原美術館では束芋(たばいも)の個展『ヨロヨロン』が開催されている。(2006年8月27日(日)まで)
独特なアニメ映像でリストラなど現代社会の実像を描くアーティスト、束芋。もちろん、それにちなんだイメージケーキも作成されている。
「今回は、一番印象的だった「真夜中の海」をモチーフに作りました。波が表現する、幻想的な世界を、真っ白な生クリームで表現。アールグレイとブラッドオレンジのテリーヌのケーキです。夏なので、爽やかさを感じられるようライムのジュレを添えました」。
ゆっくりと美術鑑賞をした後は、静かなカフェでシャンパンやワインを片手に午後の一時を過ごす。至福の寛ぎ空間。身も心もアートに包まれる、ここは都会のオアシスなのである。
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2006年6月3日−8月27日
「ヨロヨロン」束芋 展のイメージケーキ


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シェフ 石原道子氏
カフェ ダール
住所:〒140-0001 東京都品川区北品川4-7-25(原美術館内)
TEL:03-3445-0651(原美術館代表)
FAX:03-3473-0104
http://www.haramuseum.or.jp
※ カフェ ダール利用時は、原美術館に入館する必要あり。
営業時間:11:00〜17:00(L.O.16:30)
水曜日のみ(祝日を除く)11:00〜20:00(L.O.19:30)
ランチタイム:平日 12:00〜15:00 土・日・祭日 11:00〜16:30(終日)

○イメージケーキは735円にて提供。
※束芋のイメージケーキは8月27日(日)まで
○平日はランチセット有り。(季節や展覧会に合わせたメニューをご用意)

休業日:月曜日(祝日の場合は営業、翌日振替休、美術館開館日に準ずる)、展示振替え休館、年末年始
アクセス:JR「品川駅」高輪口より徒歩15分/タクシー5分
バスは品川駅高輪口より都営96番系統「御殿山」下車、徒歩3分。
駐車スペース 有(6台)
席数:20卓/61席 (店内 10卓28席、庭 10卓33席)
予約 可(平日のみ)
パーティ 可
詳しくは、お問い合わせください。


Text by Eri Kadono
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