変わらないスタイルには、吉田さんが料理人となった経緯が由来するかもしれない。
吉田さんは、もともと料理人を目指すつもりはなかったという。ただ、「仲間が集まると、料理を作るのはいつも自分だった」ように、誰かのために料理を作る喜びは常に感じていた。そして気づけば、その「誰か」は「仲間」から「見ず知らない、誰か」のためへと広がっていった。
そのため、料理人となった今も「シェフ」と呼ばれることに抵抗があるという。
「シェフっていうと、どことなく敷居の高いイメージがあるでしょ。それに、出張料理人というと、顧客は上流階級ばかり、と連想されがちで…。でも、実際はそんなことはない。本当に様々な人から依頼がくる。その依頼をしてくれた全ての人を、料理でもてなしたい。その人たちだけのための料理を作りたいんだ」。
吉田さんの料理を、一度でも食べたことのある人ならきっとわかるだろう。
美しさだけを身に纏った料理ではない、心にじんわりとくる不思議な味わい。どこか懐かしくもあり、あたたかい。料理に対する奢りは一切なく、そこあるのは謙虚さと食べてくれる人への感謝の気持ちだ。
料理を食べてくれる、誰かのために。今日も出張料理人は、扉の前に立つ。 |