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新潟県燕市。「職人の町」として知られるこの町は、江戸時代から金属加工業が盛んで、近代には洋食器産地として有名になった。燕の洋食器といえば、最盛期より生産量は減少傾向にあるとはいえ、優れた技術力は、今もなお国内外問わず高い評価を受けている。
その輝かしい伝統を継承、さらには発展させ、日本の洋食器文化に新しい息吹を与えたのが、大阪を中心に活躍するクリエイティブユニットgrafだ。

そして、そのgrafの生み出した新世代のカトラリー。それが、「SUNAO」である。
grafは、燕市に数ある金属加工業メーカーのなかでも70年以上の歴史を持つ、老舗・燕振興工業株式会社からデザインの依頼を受け、今回のプロジェクトがスタートした。
中心となったのは、grafの代表である服部滋樹氏とプロダクトデザインを手掛ける松井貴氏だ。
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職人とクリエイター。
方や伝統を重んじ、守る「ものづくり」をし、方や自由な発想と、独自の視点で新しい価値を生み出す「ものづくり」をする。一見、相容れないようであるが、「食生活をより豊かなものに、愉しめるものに」という想いが一致し、ボーダーは越えられたのである。
そして、両者が掲げたコンセプトは、「日本人の食卓」。
「お父さんがいてお母さんがいて、子どもがいて。そんなごく普通の日本の家庭の夕食に、箸と一緒に並べられているようなイメージ」と松井氏は語る。
日本人の食生活に欠くことのできない箸と並んでもバランスよく、日本人の手のひらに、食生活そのものに馴染むカトラリーである。

手にするとそのコンセプトは、より深く伝わってくる。見た目よりも意外に華奢ではあるが適度な重みがある。すっと手に馴染み、料理を切るのにも、すくうにも負担がなく、むしろその感触が心地いい。
「見た目やフォルムのデザインよりも、心地よさを一番に考えた」という松井氏の言葉通り、使っていると、ついついその存在を忘れてしまうくらい自然で、違和感がない。

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また、「カトラリーは、おいしく食べるための道具」だと、松井氏は強調する。
カトラリーをインテリアとして楽しむ風潮もあるなか、あくまで道具であることを主張する。道具とは、ある目的のために利用されるものであり、それ自体が主役になることはない。
無駄を削ぎ落としたピュアでミニマルなフォルムが特徴的な「SUNAO」のデザインは、いたってシンプルであり、まさに食べるための道具としての本質を表しているように感じる。

しかし、そのシンプルに見えるこれらのカトラリーにこそ、燕振興工業株式会社とgrafの技とセンスが凝縮されている。
通常洋食器にはさびにくい18-8ステンレスを使用するが、口に入れた際の「金くささ」を残さない、良質なステンレス素材を選ぶ。
また、切るという動作をスムーズに行うため、ナイフにはハイカーボンステンレスを使用する。ハイカーボンを使用することで、美しく、強く、切れ味も良く、研ぎも少なくてすむのだ。そして、良質な素材を使えば、それを生かすための高度な加工技術も必要となってくる。「単純だからこそ、誤魔化しのきかない難しさがある」という。
さらに、カトラリーは料理の味を壊すものであってはならない。
一番おいしい状態で口へ運べるよう、素材、加工、研磨全てに繊細な感覚が求められるのである。
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おいしく食べる。
それには、何よりも食べるという行為を邪魔しないことが重要である。
カトラリーのデザインを重視し、凝ったデザインを出すブランドも多い。確かに一見するとかっこよく、目をひく美しさはある。しかし、それが食べるという行為、食べるシーンに結びついているかといえば、疑問を感じることも少なくはない。
だからこそ、ただ「食べること」を追求し、食べるシーンも含め考えられた「SUNAO」は、人々に訴えかけるものも多いのかもしれない。

伝統の技と新世代の発想が見事に結晶し、生まれた「SUNAO」。
食べることをより豊かに愉しむカトラリーとして今、「SUNAO」は最良のモデルのひとつである。


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SUNAO (06'July NEW ITEM) 右より順に
ディナーナイフ/dinner knife ¥998
ディナーフォーク/dinner fork ¥735
ディナースプーン/dinner spoon ¥735
ケーキフォーク/cake fork ¥473
ティースプーン/tea spoon ¥473
スープスプーン/soup spoon ¥735 (06'August NEW ITEM)
アイスクリームスプーン/ice cream spoon ¥473 (06'August NEW ITEM)
バタースプレーター/butter spreader ¥893 (06'September NEW ITEM)

お問合せ
graf TEL:06-6459-2082
E-mail:info@graf-d3.com
URL:www.graf-d3.com/


graf(グラフ)
「暮らしのための構造」をテーマに、空間、家具、照明、グラフィック、プロダクトのデザインから、
アート、食に至るまで、暮らしに関わるあらゆるものづくりに取り組む、クリエイティブユニット。
創立メンバーである空間デザイナー、プロダクトデザイナー、家具職人、大工、アーティスト、シェフの6名を中心に、
現在は約30名のスタッフで構成される組織となる。
家具工場、ショールーム、レストラン、ギャラリー、オフィスからなる大阪・中之島のgraf bld.(グラフビル)をものづくりの拠点に、
多方面にわたる活動を展開。
活動の発信拠点としてロンドンオフィス、東京ブランチを持つ。
(graf会社概要より http://www.graf-d3.com/

松井 貴氏(Matsui Takashi)
専門学校卒業後、建築設計事務所にて勤務。
その後、インテリアショッ プにて家具のリペアを 担当した後、
他の5人のメンバーとともに grafの活動をスタート。
プロダクト、グラフィックを中心にgrafのデザイン を担当している。


Text by Eri Kadono
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