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北イタリアのコモ湖畔の小さな街で、レストランを営む両親のもとに生まれた。幼い頃から、料理は生活の一部であり、3歳の頃からエスプレッソマシンに触れていた。
「料理を極めることは、自分にとって、人間的な成長に繋がる」と、確信したエンリコ氏が本格的に学びだしたのは、15歳の時だった。地元のレストランで見習いとしてスタートし、
ジョエル・ロブションをはじめ、有名シェフに師事。そして、その頃から次第に、イタリアン
/メディテレニアンのシェフとして、エンリコ氏は頭角を現すようになる。

エンリコ氏が、「食の世界」の頂点を極める、決め手となったのは、歴代最年少(28歳)で、ダイアナ妃とチャールズ皇太子の初代専属シェフに就任したことだろう。その後はホワイトハウスへ、数々の有名ホテルで総料理長として腕を振るいながら、時にはローマ法王のプライベート・シェフなどを務めた。
「私が料理長になる前、英国王室の主流は、フレンチでした。私が就任したことで、イタリアン/メディテレニアンが取り入れられ、それを大変喜んでいただきましたね。故ダイアナ妃によくリクエストしていただいた料理は、「ケッパー風味の平目のオーブン焼き」や「クレーマ・ディ・リモーネ」。これらの料理を作るたびに、その思い出が昨日のことのように思い出されます」。

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著名人のプライベート・シェフとして活躍してきたエンリコ氏。それまでの彼の料理を例えるならば「オートクチュール・イタリアン」、それに対して東京の『OFFICINA di Enrico』でのコンセプトのひとつとして、「遊び心の溢れる、モダン・イタリアン」があげられる。
「晩餐会や宮廷料理というのは、基本的にコーススタイルでクラシックなメニュー構成です。ワインとのバランスも非常に重要になるので、いつもトータルで1つの作品になるように考えますが、今回のようにレストランメニューでは、アラカルトなど一品一品が存在するので、遊び心も入ってきます。特に、『OFFICINA di Enrico』では、遊び心を生かし、新たなメニュー開発に力を入れたいです」。

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それは、店名に掲げた「officina」が意味するところだろう。工房を意味するofficina。その名の通り、新しい食材や調理法などから、これまでにないメニューを開発し、情報発信となる場を目指す。そのため、レストランをどこに開くか、ということは、重要な要素の一つだった。エンリコ氏の料理の核は、技巧でなく素材。地元の新鮮な食材を使うことにある。
「日本料理は、素材にこだわり、素材本来の味を壊さない調理法で作られている。とても繊細さを感じますね。イタリア料理と共通するところでもあり、日本料理から得るヒントは多々あります。また、昨年の来日で、初めて築地に行ったのですが、魚の豊富さや新鮮さに驚きました。その時以来、非常に興味を持ち、日本にしかない食材を使って、新しいイタリア料理を創作していきたいですね」。


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料理とともに重要となるは、レストラン環境だ。東京ならば、東京に住んでいる人のことを考える。そして、彼らに合わせた、インテリアやテーブルウェア、料理・・・、と全ての組み合わせが検討される。
今回、エンリコ氏が『OFFICINA di Enrico』のテーマに挙げたのは「和」と「伊」の融合だった。例えば、使用される食器は、全て日本の瀬戸で焼いたものであり、グラスやフォーク、ナイフなどのカトラリーは、イタリアから全て仕入れた。
また、日本の陶芸家、道川省三氏のテーブルを取り入れ、その他インテリアに関しては、イタリア人デザイナーのアルトゥーロ・モンテネッリに託している。
随所に散りばめられた、「和」と「伊」の融合…。アーティストとコラボレーションをし、職人たちに会うために、自ら足繁く出向く。目で見、触れ、自分自身の全てで確かめるために。そして、それが刺激となり、新たなアイディアが生まれる。

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エンリコ氏はまた、後継者や若きシェフたちの育成にも熱心である。これまで200名以上のシェフを育成、世界へ輩出してきた、エンリコ氏のこだわりは、訪れた先の現地スタッフとともに調理をすること。以前、帝国ホテルでの晩餐会時にも一人で来日、ダイアナ妃の外遊時にも一人で同行、その他は現地スタッフで賄う。
今回は、彼の右腕となるジャンルカ・セラフィン氏も共に来日したが、その他は全て日本で採用したスタッフである。
どんな場所へ行っても、円滑なコミュニケーションをはかる能力は、世界中を飛び回り、数々の著名人に仕えてきたエンリコ氏だからこそ為し得ることだろう。

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今後、北京やロンドン、NYへも展開していく予定だという。世界中に広がりつつある、エンリコ・デルフリンガー・ワールド。
「大切なのは、常に、挑戦し続けることです。新たな土地へ行く度に、様々な人との出会い、新しい食材や味との出会いがあり、刺激を受けますね。このような出来事全てが、シェフとしての私を作ってくれているのです」。
東京を中核に、今後どのようなコンセプトを持つ、レストランを作り上げてくれるのかが楽しみである。


OFFICINA di Enrico
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-26-21 CURRENT表参道3階
Tel 03-3401-7262/Fax 03-6804-8713
月曜定休
Lunch 11:00〜14:30(L.O.)
Dinner 18:00〜22:00(L.O.)

http://www.officinadienrico.jp/



Text by Eri Kadono
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