私にとって「戦うお菓子」がすべてではありません。しかし、「自分で一定の期間を決めて集中して取り組もう」、「それが世界に通用した時、自分自身に納得するんじゃないかな」、そんな思いからコンクールの世界へ足を踏み入れました。実際やり始めてみたらすごくおもしろくて、どんどんのめりこんでしまいましたけどね(笑)。
特にここ5年は、自分のモチベーションも高かったので、技術も向上し、高い評価もたくさん受けましたね。自分の技術や味が世界のトレンドとなる瞬間を経験することが出来ました。そして、その集大成が今回のWPTCだったのです。
WPTCを終えた今、私はコンクールを卒業し、「楽しむお菓子」に専念しています。
前と技術は変わっていませんが、WPTCから帰ってお店でやりだしたのが、クラシックなやり方にこだわること。本来、世界を舞台にする、となると斬新なスタイルを予想されるでしょう。
実際、コンクールに出始めたころはそうでした。しかし、最新、先端を目指し続けてきたからこそ、本当に美味しいものを作るための技術はクラシックなやり方にあることがわかりました。
時間をかけて、手間暇かけて、1つ1つ丁寧に作り上げるお菓子。フランス菓子の根本はそこにあると思います。
手づくりのあたたかみ、丁寧に作る心。万人に愛される味。ホンモノの味。
私がこれから目指すべきものです。
戦いは終わりました。次は平和を作り上げる番ですから。■
Text by Eri Kadono |