テーマは、「JAPON」。 ここ数年で、日本の食シーンは大きく変りました。 フレンチの巨匠アラン・デュカスやジョエル・ロブション、ミッシェル・トロワグロ、英国王室御用達のイタリアンシェフ エンリコ・デルフリンガーなど、諸外国の有名シェフによる日本への出店は跡を絶ちません。私たちはグローバルで豊かな食文化を手にいれ、世界でも有数の美食大国へと飛躍を遂げました。その一方で、一歩世界へ目を向けると、古くから受け継がれてきた伝統的な日本食ブームが続きます。 「今」と「昔」。「変革」と「伝統」。 今、「日本」の食のシーンは世界で最も注目されている、といっても過言ではないのです。
そこで、今回の『FOOD DESIGN SHOW』では、「JAPON」をテーマに、9つのプロジェクトを展開しました。 ブライダルプロジェクトでは、花をモチーフにしたモダンジャパニーズを料理とテーブルコーディネートで表現、カフェプロジェクトでは「スシ」をモチーフにしたスイーツと料理や「CHA-NO-YU」と題し、日本の伝統文化 茶の湯をモダンに表現したスイーツを提案。和素材を取り入れたパンの販売、クロカンブッシュやパスティヤージュでのモニュメントの展示など、あらゆる角度から日本のコンテンポラリーな食を表現し、お客様に「作る、食べる、見る」五感で感じるフードイベントをお楽しみいただきました。
イベント名にも掲げた「Food Design」とは、五感全てで「食」を楽しみ、新たな「食」の一面を表現しようという考え方のこと。つまり、皿の上という2次元に留まらず、空間・環境・シーン・スタイル…3次元で「食」を表現し、その楽しみを提案することです。生活に、生きる上で欠くことの出来ない存在だからこそ、自分らしさをプラスし、個人個人のスタイルに合わせた「食」が必要であると私たちは考え、願います。 「美味しさ」だけでなく、「ライフスタイル」全てを潤し、豊かなものにする「食」。まだまだ馴染みの薄い「Food Design」という言葉ですが、私たちは自信を持って提案します。
「JAPON」。 街や人、文化、そして食。 この国を訪れる料理人は、「JAPON」の何に惹かれ、「JAPON」の何を得、表現しようとしているのでしょうか?
今回の『FOOD DESIGN SHOW』で、見事なデモンストレーションを披露していただいたリオネール・ベカシェフ(センチュリーハイアット東京「キュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロ」料理顧問)。 リオネールシェフが考える「JAPON」とは? シェフの一皿と共にご紹介します。
私の「JAPON」とは、箸の文化です。 私は今、調理をする時、盛付けをする時に箸をよく使っています。 もちろん、これは日本に来てからのこと。フランスにいる時は、日本食レストランへ行かない限り、箸を使う機会はありませんでしたから。しかし、その頃から箸を使う、箸で食べる…、その所作や姿に美しさを感じていましたね。 なので、日本へ来てまず、箸の使い方を学びたいと思いました。 箸を学び、使い出してまだ数ヶ月ですが、日本の食における箸の重要さやすばらしさを感じています。細かいものを配置したり、微妙な表情を出したり、日本ならではの繊細な盛り付け、あれは箸を使うからこそ出来ること。 また、日本独自の食材は、やはりナイフやフォークよりも箸で扱うほうが、素材の持つ魅力が生かされるということもわかりました。それだけ、日本の食は繊細であり、デリケートなものなのです。
よく、箸を使って調理をしていると驚かれますが、私は日本ならば日本の、フランスならばフランスの、その国の素材はもちろん文化や伝統を料理に取り入れたい。これは、師であるミッシェル・トロワグロから学びました。トロワグロの精神はとてもオープンマインド。それは、彼の料理にも生きています。 ミッシェル・トロワグロは、イタリア出身の祖母からイタリア料理を、修業時代に訪れたカリフォルニア、ベルギー、ニューヨーク、旅行で訪れたアジア。それらのどの国のエッセンスをも伝統的なフランス料理へ取り入れています。クラシックな「TROISGROS」のフレンチは、ミッシェル・トロワグロの時代でモダンかつ軽やかな、クリエイティビティの溢れるフレンチに変革したのです。
私が料理顧問を務める「キュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロ」にも、彼の料理哲学は反映されています。日本の食材やスパイスを使い、ハーモニーが生きる、フランスと日本が溶け合った料理です。今回ご紹介する「フォワグラのヴェロア 柚子のコンソメ仕立て」は、フォワグラを日本料理の茶碗蒸し仕立てにしたもの。食材には、柚子やしいたけ、みかんを使っています。「JAPON」ならではの繊細な味わいに、フランス料理のスピリッツが溶け合ったコンテンポラリーな一皿です。 フレンチレストラン キュイジーヌ[S] ミッシェル・トロワグロ 住所:〒160-0023 東京都新宿区西新宿2-7-2 TEL:03-3349-0111 営業時間:11:30〜14:00/17:30〜21:30 定休日:無休 http://www.centuryhyatt.co.jp/