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3月4日、ニューヨーク。「インターナショナル・レストラン&フードサービスショー」の初日だ。朝からあいにくの雪模様。
しかし、悪天候など意に介さずと、開幕と同時に会場は、多くの関係者で埋め尽くされた。

会場となったのは、マンハッタンのミッドタウンの西端(ハドソン川の辺)に位置するニューヨーク・ジャビッツ・コンベンション・センター。世界の経済・文化の中心であるニューヨークという地の利を得、集客数や経済効果では全米トップを誇る巨大な展示場である。

今回が初となるジャパンパビリオンへは、計25の食品関連企業と団体が参加。内容は、和牛から調味料、日本茶までの幅広い食材に、漆器や包丁などと多彩。
訪れた人々は、貪欲にいろんなブースの食材を食べ比べたり、出展者の話に興味深く耳を傾けたり。日本食、文化の味わいや質を目や舌、感覚全てで確かめる。パビリオン内は、多くの驚きと発見で包まれた。

どんな食、どんな文化へも関心を持ち、受け入れる。
それが、NYという都市なのだろう。

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伊藤園

Green Tea ― 緑茶 ―

Whole Foodsなどの健康志向の高いスーパーで、よく見かけるようになった伊藤園の緑茶や烏龍茶。アメリカの製品生産の過程として、Low Acid(甘くないお茶)のライセンスを獲得、米国内でペットボトル入り緑茶の製造が出来る唯一の企業。日本のお茶文化をアメリカに紹介し続けている企業だ。伊藤園は、アメリカで販売する緑茶を、日本で馴染み深いお茶色の「おーい お茶」のパッケージではなく、ピンクや黄色を基調としたパッケージで提案。ポップでスタイリッシュなアメリカらしいパッケージである。「こちらの人はまず“Tea”というと、甘いお茶を想像します。「おーいお茶」と日本語で書かれた緑のパッケージを見てかっこいいと思う。“Tea”と書いてあるから買ってみて飲むと、甘くないから吐き出してしまう。まずここの意識を変えるために“Unsweatened”と明記し、分かる人が飲めるようにするところから始めました」と日本と米国の食に対する意識や考え方の違いを話すのは、活ノ藤園の本庄氏(取締役 米州統括)だ。

日本食ブームに発展し、寿司の関連商品である「緑茶」も注目されはじめた。緑茶「Green Tea」の知名度も上がった。2007年グルメ雑誌ザガットサーベイのグルメ・マーケットプレイス版で、マジソンアベニューにある伊藤園のフラッグシップストアは「ベスト・ティー・ショップ」に選ばれた。ニューヨーカーにも緑茶の良さが浸透しつつあるようだ。

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まるや八丁味噌

Haccho miso ―八丁味噌―

今回が初の出店となる(株)まるや八丁味噌は、愛知県岡崎市で600年の歴史をもつ赤味噌の老舗。最近では赤味噌作りも機械化され、短期間で作られるものも多いが、まるやの味噌は、有機栽培の大豆を使用し、職人が手をかけ作ったこだわりの一品。味噌を作る際の重石にも石を使い、なるべく自然の力を利用した味噌作りをしている。「地域団体商標制度で、赤味噌の名前が自由に使えるようになってしまうことに危機感を覚えました。600年続いている伝統や消費者を自分で守り続けるしかないんです。赤味噌の文化・伝統を海外にも伝えたいと思い、ニューヨークにやってきました」と、代表取締役社長 浅井信太郎氏。まるや八丁味噌は、イギリス、ドイツ、オーストラリアへも輸出。「ヨーロッパは新しいものがなかなか受け入れられない風土がありますが、アメリカ人という国民性に、新しいものを受け入れる器があると感じました」と言うよう、ブースでは味噌作りの行程に多くの来場客が興興味津々。 ショーが始まる前、マンハッタンにある日本食料理店を何店か回り、PR活動をしたそうだ。「評判がすごくよく、手ごたえはありました。なるべく商品価値をアピールするように心がけています。売ろうとせずに、良さを分かってもらえたら、数字は自然についてきますから」。終始、笑顔で来場者に説明をする浅井さんの姿が印象的だ。

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「Made in Japan」研究会

Tofu&Miso Food ― 豆腐+味噌料理 ―

まるや味噌とジャパンパビリオン内でコラボレーションをし、ステージでの注目を集めたのが、Made in Japan Kenkyukai。大豆加工食品を中心に取り扱う同社は、デモンストレーションで卓上豆腐製造鍋により作った手作り豆腐とまるや八丁味噌の味噌ソースを合わせ、参加客に振舞った。「自分のブースの商品だけでなく、他に出店している企業のアイテムとコラボレーションし、クロスマーチャンタイズとして出せるように工夫しました」と話すのは、ミナミ産業株式会社代表取締役社長である南川氏。和食ブームで豆腐にも注目が集まり、アメリカにある日本食レストランから色々問い合わせがくるようになったという。最近では、純・和食のレストランだけでなく、いわゆるフュージョン系のレストランからの需要も高い。ベリーと合わせたデザート感覚の豆乳、また、豆腐に色々なフレーバーをつける抹茶やゆずのシーズニングを提案。Made in Japan Kenkyukaiは、フードに特化したショーへの参加は今回が初めて。しかし、和食材の関心の高さ、手ごたえを感じたという。


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菊一文珠四郎包永

Japanese Knife ― 包丁 ―

ジャパンパビリオンに設置されたブースでかつら剥きや飾り切り、鯛のお造りのデモンストレーションで、和包丁の鮮やかな切れ味を披露したKikuichi Cutlery。本店を奈良に構える700年続く包丁の専門店。アメリカでの実績は10年以上だが、NYのショーへは今回が初。Kikuichi New York Inc.平野氏は、「アメリカ人シェフやホーム・シェフにKikuichi Cutleryのよさを知ってもらうこと」とその目的を話す。アメリカ人男性は日本人男性よりも家庭で料理をする人が多い。それゆえ家庭用の需要も多く、高級な包丁の売れ行きも良いという。ステージでの華麗なデモンストレーションの効果もあり、アメリカのメディアからも多く取り上げられることとなったが、「メディアの反応がビジネスに繋がるのはまだ尚早」と同氏。「素材の良さをアピールし、今後は高級リテールストアに販売していきたい」と意欲を語る。

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今まで日本食を扱う企業は、個々でプロモーションをしていたため、日系以外のメディアから取り上げられることが少なく、ニューヨーカーから大きく注目されるチャンスが極めて少なかった。ジャパンパビリオンを出現させることによってアメリカのメディアからの注目が大いに集まった。
現在、全米では9,000店以上の日本食レストランが存在している。日本食ブームは、ニューヨーカーの健康意識の高まりと一緒に広まった。日本食への関心と共に日本文化への関心も高まっていると言えよう。

機械化された大量生産、大量消費の文化とは対照的に、長い歴史を持ち、時間と手間をかける日本の食文化。そこに興味を覚えるニューヨーカーは多い。「まず伝統について聞いてくれるのが何より嬉しい」とまるや八丁味噌の浅井氏は言う。
日本食が正しく伝われば、アメリカメディアから「スシポリス」と揶揄された「日本食レストラン認定制度」に頼らなくても消費者は自然に良いものを選んでいくだろう。これからの日本食産業の“おいしい”社会貢献に期待したい。

Text by Rie Tange

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