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Wagashi CREATION 日菓

和菓子離れが・・・


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杉山早陽子さんは、三重県出身。大学で写真部に所属、写真展を定期的に行っていました。食べることも大好きだった、そんなことから「いつか“食の展覧会”を開きたい」そう思っていました。でも具体的にどんな食の表現を行うか、この時はまだ考えつかなかったといいます。

一方の内田美奈子さんは、埼玉出身。こちらも大学で写真学科を卒業、東京の出版社に就職しました。働いていたのは写真集などを手掛ける会社、仕事柄多くの作家さんなどに会う機会があり、何か自分で作りたい、そんな思いが強くなります。

“Wagashi 和の菓子” この本がきっかけで、和菓子の世界に魅力を感じた2人はそれぞれ京都に向かいます。和菓子文化の栄えた京都には、今も老舗の和菓子屋が伝統を受け継がれています。季節と共に、移り行く和菓子の美しさを紹介する本書に魅せられた2人は、偶然同じ和菓子店で顔を合わせることになります。
今、杉山さんはこの和菓子店に営業スタッフとして働いており、内田さんは職人として和菓子作りをしています。はじめからピンと合った二人。共通の先輩を通じて、少しずつ距離が縮まり、お互いの歩んできた道に共通点を見出していました。
そんなある日、知人に野外フェスティバルで屋台を出店しないか、という話をもらいます。
それが“日菓”としての初めてのクリエイションの場となりました。
それからは、2人の休日に“日菓”として創作活動をしており、ギャラリーでの展覧会や落語家など、様々なアーティストとのコラボレーション、作品を生み出しています。

Wagashi 和の菓子
Wagashi 和の菓子 ピエブックス出版

日菓 左:杉山早陽子さん 右:内田美奈子さん


日課

そもそも“日菓”とはどんな由縁があるのかと問うと、「日々のお菓子」「毎日食べたい」「日本のお菓子」と言葉が出てきます。
これらを総称して“日菓”と名づけたといいます。
「私たちはケーキをはじめとする洋菓子を否定している訳ではありません」そう続ける2人。
彼女たちが伝えたいこと、それはおやつの時間に「ケーキとまんじゅう、どっちにしよう」そんな会話がもっと増えてほしい、和菓子に触れる機会を増やしたい、そう思っているのです。


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3時ようかん
3時ようかん】
ケーキと違うな、そう思うのは切り口。くっきりとした切り口は、ケーキではなかなか表現出来ないもの。光の当たり具合で、単調な小豆色も七色に変化を見せます。この切り口、上からよくみると、一部欠けている。実はこれ3時を現しているのです。“おやつの時間”1粒でいくつもの発見がある、それが日菓の和菓子です。
おしくらまんじゅう
【おしくらまんじゅう
子供のころ、寒いときによく“おしくらまんじゅう”をしませんでしたか?それを本物の饅頭で表現した作品。ぎゅうぎゅうに詰まった饅頭、冬に見たら思わずぷっと笑いがこみ上げてくる一品。
増笑顔
【増笑顔】
伝統的な和菓子で“薯蕷饅頭”というとろろをつなぎにした真っ白な饅頭があります。紅い点を付けるのはおめでたいとき。この伝統菓子にちょっと笑いのエッセンスを加えてみました。「この紅い点はなんだろう」「しかもちょっとずれてる」1つの発見にもう一つ発見を増やして、笑顔になった増笑顔です。


美味しいにつける付加価値

「伝統的であることが一番。今の時代にベースがあるからこそ、表現する甲斐があるというものです」
1から新しいのではなく、基礎があるものに対し新しい表現を提案するという日菓。
和菓子は今ブームが沸き起こっている、とは表現しないでしょう。でも現代に忘れ去られているのではなく、しっかりと残っている、だからこそ魅力があると語ります。

新しい、今までにないものを作りたい
流行の新しさではありません。2人が表現することが、和菓子を知るきっかけになる、和菓子を通して過去・現在・未来の架け橋のような存在を目指します。
彼女たちが、挑戦してみたいこと、それは季節に応じた和菓子の提案。
昔から行事に合わせた和菓子というものが存在します。1月1日は花びらもち、3月3日には桜餅やひちぎり…これらは紋日菓子と呼ばれいます。
和菓子屋によく足を運ぶ方にはピンとくるかもしれませんが、そうでない方には、身近に感じないかもしれません。これらの和菓子には1つずつ由来があります。こうした歴史を研究し、自分たちらしく提案していきたいと考えている日菓。
提案することが、また新しい歴史へと積み重ねられる、そんな歴史作りに興味があると語ります。日菓のアーティスト活動、それは視覚だけのクリエイティブワークには留まらず、“食べる”という行為そのものをプロデュースしているといえるでしょう。日菓の展覧会は、食べ物が作品。見るだけでなく、それを食べて無くす、無情さや寂しさ、そして面白さを重ね合わせた展覧会。アートとしての“食の魅力・楽しさ”とは、視覚から獲る創造と体内に吸収されるまでの一連の流れを作り出すところにあるのかもしれません。


日菓 杉山早陽子/内田美奈子
2006年8月、生まれた場所も、育った場所も、京都ではない2人が京菓子に魅了され、京菓子を通じて出会い、「『曲げわっぱをリネンで包んだような』和菓子を作りたい!」と、二人の意見が合って、和菓子作りの“日菓”が誕生。つまり、伝統的な方法を用いて作られたものを、時代に合った感性で包みこむようなものを作りたい、ということ。そして、その可能性が、和菓子にあることを確信し、現在は、イベントでの出店や、展覧会に向けて、ゆるやかに活動中。
二人のブログ http://nikkakyoto.exblog.jp/


撮影協力
日菓がいつもお世話になっているという二条城近くのギャラリー。今回はこちらで撮影をさせて頂きました。食にまつわる展覧会が多いモーネ工房。現在の展示作品は“うちのおだいどこ展”(原敬子氏)4月18日(金)― 29日(火)まで。 
モーネ工房 京都市上京区西堀川通丸太町下ル下堀川街154-1 エーワンテック本社ビル3F
http://www.maane-moon.com/index.html


モーネ工房 モーネ作品


Text by Yuri Suzuki
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