F JAPON
FEATURE REPORT TOPICS KID'S NEXT FORECAST BLOG INFORMATION
ランドスケープデザインと食のおいしい関係。


山崎亮 - Ryo Yamazaki

僕はそもそも「受験勉強」というものに興味が持てませんでした。
進路についても、特にこれといってやりたいことはありませんでした。ただ、高校時代に周囲の人たちが「これからは『バイオ』と『英語』と『コンピュータ』が重要な世の中になるぞ」と言っていたので、なんとなく「バイオ」が勉強できそうな農学部を選びました。ですが、当時は「農業なんてダサい」と思っていましたし、ファッションショーのモデルをしていたので、大学時代の前半は学業よりもモデルの仕事に面白さを感じていました。
大学4年生の時、オーストラリアの大学への交換留学の募集がありました。「日本にはないカッコいい洋服や小物に触れたい」という憧れで応募したら、あっさり留学することになりました。
留学先はメルボルン工科大学の環境デザイン学部。「デザイン」という言葉がカッコいいなぁ、と思ったので喜んで留学しました。少なくとも農学部よりはカッコいいと思った(笑)
驚いたのは現地の学生が勉強に意欲的な姿勢で臨むところ。デザインが決まらずに悩んでいるときも、現地の友人たちは「これを読めばわかる」と自分の本棚に並ぶ大量の書籍の中から何冊か本を貸してくれるんです。
そのとき、僕が持っていた専門書は2冊しかありませんでしたから、同じ学生なのに大量の本を読んでいる友人たちに圧倒されました。学生というステータスに情熱を注ぐ彼らに影響され、勉強に対する考え方が一気に変わりました。読みたくてもなかなか読み進めない英語の本も、日本に帰ってきて翻訳書をたっぷり買いました。
また、勉強不足の自分を実感していたので、大学卒業後も就職せずに大学院へ進み、さらに環境デザインについて勉強しました。いま僕が取り組んでいるランドスケープデザインという分野に対する興味は、留学時代に培われたといえますね。

フィロソフィー:研究や仕事全てがレクリエーションです。

ランドスケープデザインというのは、公園や庭園や広場など、屋外空間をデザインする仕事。
大阪の事務所では、そのランドスケープデザインに関する仕事をしています。同時に、東京の大学ではパークマネジメント(公園の周辺に住む人たちと一緒に公園を運営する方法)について研究しています。
また、神戸の研究所では人口が減って高齢者ばかりが残ってしまう「限界集落」の生活について研究しています。
その他、京都と大阪の4つの大学でランドスケープデザインや環境デザインについて教えています。


事業や研究、授業などそれぞれ異なる内容ですが、両立で混乱しそうですが…

それぞれ違う場所でやっていることなので、移動中に気持ちが切り替わりますね。
神戸の研究所では中山間地域の集落について考えているけど、大阪の事務所へ移動する間にだんだん公園のデザインについて考え始める。京都の大学で卒業制作を指導しながら、東京へ移動する間にだんだん学生に戻って自分の研究の進み具合が心配になる(笑)
全部、自分が好きなことだし、楽しいことだし、取り組む意義があることだと思っているので、いつもワクワクしながら生活しています。僕はあまり仕事と余暇を分けていないと思います。むしろ、ずっと余暇の時間を過ごしているような気持ちです。
好きなことばかりやらせてもらって、ありがたい生き方だなぁ、と思います。
独立して仕事をするようになってから、自分が好きなことに思う存分取り組むことができるようになりましたね。
昔、設計事務所に勤務していたころは、自分で自分の仕事を決めることができなかったんです。ある大学から講師を依頼されたことがあるのですが、ボスに相談したところ勤務時間中だから大学へ教えに行くことは難しいという話になりました。
当然のことですね。でも、独立してからはどんな誘いにも応じることができる。自分がやりたいと思えばやれるんです。
これが楽しくて仕方が無い理由だと思います。いろんな場所でいろんな人と知り合えるのもありがたいことです。
京都、東京、大阪、神戸と移動しながら仕事をしていますので、パソコンは常に持ち歩いています。うちの事務所の本社は、僕のノートパソコンがあるところなんです(笑)
だから今は東京が本社。夕方からは大阪が本社になる予定です。

「自然の素材を活かすために、どこで人工の手を止めるか」
ランドスケープデザインとフードデザインの共通点


ランドスケープデザインは、自然に対して「どこまで人間の手を加えるか」という判断が重要です。建築デザインのように、ほとんどすべてを人間の手でつくった空間にしてしまうのではなく、しかし原生林や砂漠のように完全な自然を目指すわけでもない。自然を残したり創出したりしながらも、どこかに人工的な居心地のよさを作り出す必要があります。デザインする人間の手をどこで止めるのか、が重要になりますね。



山崎氏の関わったプロジェクト
レストランのリノベーション
今まで活用されていなかった空き地を喫茶スペースとして活用するためにオープンデッキをデザイン。取り出しができる植木鉢をテラスの所々に埋め込み、植木鉢にはそれぞれ異なった山林から集めた土を埋める。土の性質によって生えてくる植物が違うということをデッキ上にデザインした。
生態学的な関係性を活用したデッキ空間を創出
レストランのリノベーション


料理の創作においても、素材のもつ味を活かし、「どこで料理人の手を止めるのか」ということが重要になるのではないでしょうか。
料理とランドスケープデザインにはさらなる共通点があります。料理人は創作する料理に、栄養価やボリュームなどの「機能的側面」と、美味しさや見た目の美しさなどの「審美的側面」を備え合わせますね。
ランドスケープデザイナーも同じです。その空間の使いやすさや構造的な強度といった「機能的側面」と、風景としての美しさといった「審美的側面」のバランスが大切です。
そして、ランドスケープデザインもフードデザインもコストを気にする(笑)。この点も共通しています。
いくら使いやすくて美しい空間ができるとしても、莫大な費用がかかるのでは誰もお金を出してくれません。料理も同じでしょう。いくらおいしくて美しい料理でも、お客さんは財布の中身と相談しながら注文するかどうかを考えるわけですから。


「食」と「ランドスケープ」の接点をさぐる −山崎氏に興味深い事例をご紹介いただきました。
ダンカイリー ダンカイリー
屋外で食事を楽しむためにデザインされたランドスケープ。石で作られたテーブルは、四角く彫られたスペースに水を入れることでワインや食材を冷やすことができる。
edible landscape design edible landscape design
直訳すると「食べることができる風景」
水や土、エネルギーの消費をきりつめ、食べられる植物を用いて計画された風景。長野県の飯田市りんご並木まちなみ整備計画。


食空間へのアイディア

屋外でバーベキューをするとなんであんなにおいしいと感じるのでしょうか。山で食べるおにぎりやカップラーメンも、とてもおいしく感じます。素材を活かしたおいしい食事を、美しい風景(ランドスケープ)のなかで食べること。
それはきっと至福の時間となることでしょう。最近、そんな幸せな時間を過ごすことが多くなってきました。
集落の研究をしているので、頻繁に農村や漁村へ行くのです。そこで取れたての野菜や魚介類を食べさせてもらう。のどかな風景のなかで食べる食事はとてもおいしいものです。
どれだけオシャレに飾り立てたカフェでも味わえないクールな食事を体験することができます。
農業はダサいでしょうか。いやいや、めちゃくちゃカッコいいですし、まだまだカッコよくなれそうです(笑)
フードデザインとランドスケープデザインが手を組んだら、農村や漁村はもっとカッコよくなれるような気がしますね!

山崎亮 氏 神宮前のサロンにて
山崎氏が常に持ち運ぶ必需品。パソコンとHDD、e-mobile、iPOD、文献とマストアイテムの赤ペン、手帖はティファニーを愛用。
山崎亮氏(Ryo Yamazaki)
現在、株式会社studio-L 代表取締役。ランドスケープデザイナーとして公共空間のデザインに携わる。また、完成した公共空間を使いこなすためのプログラムデザインやプロジェクトマネジメントにも携わる。並行して「オープンスペースのマネジメント」について東京大学大学院で研究中。京都造形芸術大学/京都市立芸術大学/近畿大学/大阪工業技術専門学校講師。(財)ひょうご震災記念21世紀研究機構主任研究員。i+d workshop、いえしまプロジェクト、穂積製材所プロジェクト、海士町総合振興計画、国土政策研究会など、活動は多岐にわたる。
http://www.studio-l.org
ARCHIVES
→2008.08
→2008.03
→2008.02
→2008.01
→2007.12
→2007.09
→2007.08
→2007.07
→2007.06
→2007.05
→2007.04


→メイン
PAGE TOP
VANTAN FOOD CREATION サイトマップ お問合わせ NON-GRID
copyright