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AOC認定とノルマンディー地方
AOCとは、日本語で言うと『原産地呼称統制』。一言で説明するならば、『そのチーズの原料、製法、そして産出地域などを細かく規制し、オリジナリティーと品質を保証する』というもの。上質なチーズの証、AOCの認定を得るためには、原料のミルクは、どこの地方の牛(または羊・山羊)かも細かく決められ、さらにそのチーズを作る地域の限定、生産方法の指定、熟成させる地域の限定と熟成方法やその期間、チーズの大きさや重さ、脂肪分までもが決められています。
見事規制をクリアし、AOCの認定を受けたチーズは、世界でもまだ40種類。いかに厳しい規制かはその数が物語っています。
今回紹介するノルマンディー地方は、フランスの最北端に位置した有数の酪農地帯。
パンダのように目に茶色のブチのついた名牛、ノルマンド牛のミルクと豊かな土壌という恵まれた環境で、数多くの名品を世に送り出しています。 |
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チーズ製造過程
ここで、“ノルマンディー三部作”と呼ばれているのが『カマンベール・ド・ノルマンディー』『リヴァロ』、そして『ポン・レヴェック』の3種類のAOCチーズ。
その誇り高いチーズの生産過程を、観光客などに詳しく説明できるよう、チーズ工場では展示物や映像館を設けるなど、博物館のように工夫がなされています。
写真は、熟成の様子。“ノルマンディー三部作”は厳しい管理のもと、丁寧に製造されています。
ノルマンディー産の良質な牛乳に酵素を入れ、固まり始めたら5cm角に刻み、液体と固体に分離させ、1つ1つ型に入れて2日程寝かせる。型から外したら保存と味付けのために塩水につけ、成型し製品化へ…と、工場内は実に単純な作業にも見えます。しかしその裏では、形(辺の長さや高さ)、重さ、固形分中乳脂肪率のコントロール、決まった熟成期間など、AOC規制クリアのために、表には見えない細心の注意と細かな作業が行なわれています。 |
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| 熟成中のチーズ |
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“ノルマンディー三部作”
こうして出来上がった3種類のチーズ。
「カマンベール・ド・ノルマンディーは、みなさんにも馴染みのある「カマンベール」のこと。日本でもお馴染みのカマンベールチーズですが、フランスでカマンベールのAOCものといえば、正式名称は「カマンベール・ド・ノルマンディー」。
つまり、ノルマンディー地方の牛のミルクを使って作られたものだけが正真正銘、本物のカマンベールなのです。
白カビに包まれた中身は、クリーム状でなめらか。くせがなくまろやかな食べやすいものです。『リヴァロ』は、刺激的な(納豆の様な)強い臭いが特徴です。しかし、意外にも中身は癖が少なくてクリーミー。塩水で繰り返し洗いながら熟成するためウォッシュタイプと呼ばれています。『ポン・レヴェック』はノルマンディー地方最古のウォッシュタイプのチーズ。ぱっと見は白カビタイプと似ています。中身はムチッとした弾力があり、香りもそれほど強くないので、ウォッシュの中ではとても食べやすいものとして親しまれています。
どれも、AOCの規制をクリアした、上質な仕上がりです。 |
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目で、舌で。2度美味しく味わえるチーズ。
こだわりは、味や品質だけにはとどまりません。
パッケージなどの見た目にも工夫がなされています。木でできたその箱は、そもそも型崩れ防止のためでしたが、近年デザインも重視され始めるようになり、ついには、コレクターまでもが!
雑貨スタイリストが小物入れとして雑誌で紹介したり、フードコーディネーターのご自宅でも雑貨入れとして使用したりしているとか…。
また、同じく型崩れを防止するためにチーズに巻いていたスゲの草も、今では見せるポイントとなり、代用として紙のテープを使う事も。目で、舌で。2度美味しく味わえるチーズ。存分に楽しめます。 |
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| パッケージの写真 |
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たくさんの食文化が入り混じる現代社会の中、地域の伝統を守り、継承していくということ。そこには、その地域の人たちの、“自国を愛し、誇りを持つ”という強い気持ちがあります。
今回ご紹介したノルマンディーのチーズ。その裏には、人々の牛に対するたくさんの愛情や、チーズへの誇りがあります。農場と工場にも強い信頼関係がないと、継承し続ける事はきっと不可能であると思います。
人同士はもちろん、動物や食物への恩恵を持ってこそ、伝統を守り続けることができるのだと感じました。
Text by Satomi Matsumoto |
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